糖尿病網膜症

糖尿病の合併症
「糖尿病網膜症」

糖尿病の合併症「糖尿病網膜症」糖尿病網膜症とは、食後の血糖値がなかなか下がらない「糖尿病」の合併症としてよく知られる眼科疾患です。
糖尿病網膜症は、初期にはほとんど症状がありません。しかし適切な治療をせずに放置すると、失明に至ることもある疾患です。実際に、国内における失明原因の2位が、糖尿病網膜症です(1位は緑内障)。
糖尿病と診断された方は必ず眼科を受診し、糖尿病網膜症の合併を予防することが大切です。

糖尿病網膜症の原因

糖尿病網膜症の原因糖尿病網膜症の原因は、糖尿病です。糖尿病になると、血液がドロドロした状態になります。また、血管が硬くなる動脈硬化が進行します。これにより、網膜にある毛細血管が詰まったり、出血することで、糖尿病網膜症を発症します。
なお、遡って糖尿病の原因としては、食べ過ぎや運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣の乱れが挙げられます(Ⅱ型糖尿病)。また、免疫の働きの異常などによって生活習慣と関係なく発症する糖尿病もあります(Ⅰ型糖尿病)。すい臓から分泌されるインスリンの働き・分泌量が低下することで、食後の血糖値がなかなか下がらない高血糖の状態が続きます。

糖尿病網膜症の初期症状は?進行別の症状

糖尿病網膜症には、初期症状と呼べるものがほとんどありません。だからこそ、糖尿病と診断された時点で、眼科を受診し網膜症の合併を予防すること、早期発見をすることが大切になります。

3つの進行別症状

糖尿病網膜症は、以下のような経過をたどり、進行していきます。

単純網膜症

糖尿病を発症してから、5~10年後くらいの期間に現れます。
網膜の出血、血管の瘤、硬性白斑などが生じますが、外見からは分からず、視力低下などの症状もありません。

前増殖網膜症

単純網膜症から2~3年で移行します。
網膜の出血、血管の瘤、硬性白斑がそれぞれ進行し、視野のかすみなどに気づく方もいます。ただ、まったく自覚症状のない方もいます。すでに毛細血管はある程度のダメージを受けている段階です。

増殖網膜症

前増殖網膜症から1~2年で移行します。 欠乏した酸素を補うために作られる異常な血管(新生血管)が硝子体まで伸びるものの、容易に破れてしまい、硝子体出血を起こすことがあります。これにより、視界に小さなゴミのようなものがチラチラと見える飛蚊症、視野のかすみ、急激な視力低下などの症状が引き起こされます。また、網膜剥離が起こることもあります。
そしてこれを放置していると、最悪の場合には失明に至ります。

いずれの段階でも起きる糖尿病黄斑症(糖尿病黄斑浮腫)

糖尿病網膜症の合併症であり、単純網膜症・前増殖網膜症・増殖網膜症のいずれの段階でも起こり得ます。 網膜の中心にある「黄斑」という組織で浮腫が生じ、視力障害を起こします。視野のかすみ、物が歪んで見える、コントラストが低下する、視力低下などの症状が見られます。 糖尿病網膜症に糖尿病黄斑症を合併することで、視力の回復はより難しくなります。

糖尿病網膜症の検査

糖尿病網膜症が疑われる場合には、以下のような検査を実施します。

視力検査

網膜症だけでなく、さまざまな眼科疾患、屈折異常の早期発見に欠かせない検査です。
矯正視力が1.0を下回る場合には、何らかの異常があると考えられます。

眼底検査

目の奥にある網膜、毛細血管の状態を観察する検査です。
散瞳薬を点眼することで、瞳孔が開き、より微細な異常を発見できます。

光干渉断層計(OCT)検査

眼底に近赤外線を照射し、その反射波を解析する検査です。
モニターには網膜の断層が映し出され、網膜や新生血管の状態を三次元的に把握します。

 

糖尿病網膜症の治療

糖尿病網膜症の治療には、以下のようなものがあります。
必要に応じてかかりつけの内科の先生と連携し、適切な治療を提供して参ります。

血糖コントロール

糖尿病そのものの治療です。血糖をコントロールできれば、糖尿病および網膜症の進行を抑制できます。
食事療法、運動療法、薬物療法などが行われます。

レーザー治療(レーザー光凝固)

増殖前網膜症に至ったケースでは、レーザー治療を検討します。瞳孔からレーザーを照射し、網膜全体または浮腫のみを凝固します。
見え方そのものは改善しないこともありますが、失明という最悪の事態を避ける手段として非常に有効です。

手術を要すると判断した場合は連携している地域の基幹病院・専門医療機関を紹介いたします。
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