日帰りまたは入院での
手術を行っています
白内障は、主に加齢を原因として、眼球内の水晶体という組織が白く濁り、視力が低下する病気です。
白内障の治療には薬物療法と手術があります。薬物療法では点眼治療を行いますが、あくまで進行を遅らせるものであり、根本的な治療にはなりません。一方で手術では、水晶体の濁りを取り除き、人工の眼内レンズを挿入する、根本的な治療が可能です。
当院ではこの白内障手術を、入院または日帰りで受けていただけます。患者様の眼・身体の状態、ご希望に応じて、日帰り・入院を選ぶことができます。
手術方法
- 角膜に切開を加えます。
- 器具を挿入し、濁った水晶体を砕き、吸入します。
- 人工の眼内レンズを挿入します。
手術中は、基本的に痛みはほとんどありません。
手術後の見え方には個人差があり、翌日から見え方が良くなる方、数週間をかけて少しずつ見え方が良くなる方とさまざまです。
なお手術時間は、15~30分程度です。
当院の白内障手術の特徴
01 経験豊富な医師による手術
白内障手術の経験豊富な医師が、その知識を活かした安全性・確実性の高い手術を提供します。
昨今、さまざまな新しい技術が開発されており、そういった最新の技術を取り入れることで、高度な手術が可能になります。
02 日帰り手術に対応
手術当日にご来院いただき、手術後に少しお休みになってからそのままご帰宅いただける「日帰り手術」に対応しております。日常生活への影響が最小限に抑えられます。
入院手続き・特別な準備も必要ないため、患者様ご本人だけでなく、ご家族のご負担も少なくなります。
03 入院手術もしくは日帰り入院手術に対応
当院では、入院手術もしくは日帰り入院手術に対応しております。
日帰り入院手術と入院手術のスケジュールについて
【日帰り入院手術】
(手術当日)来院→手術→タ方帰宅
(翌日)朝9:00~9:30来院→外来診察
【入院手術】
(手術当日)手術→ベッド上で安静
(翌日)朝9:00~9:30診察→退院
04 多焦点眼内レンズをご用意
遠方・中間・近方のいずれか1つにピントが合う「単焦点眼内レンズ」に加え、複数の距離にピントが合う「多焦点眼内レンズ」も、多種ご用意しております。
眼内レンズについて
白内障手術で使用する眼内レンズは、その後のメインテナンスは不要であり、基本的に生涯挿入したままとなります。だからこそ、手術の際にご自身に合ったレンズを選択することが大切になります。
当院では、単焦点眼内レンズ・多焦点眼内レンズをご用意し、患者様お一人おひとりの眼の状態、年齢、ライフスタイルに応じて、適切なレンズを選択・提供しております。
単焦点眼内レンズ
ピントが遠方・中間・近方のいずれかの距離1つにだけ合うレンズです。ピントが合っている距離を見る場合にはよく見えますが、それ以外の距離を見るときに見えづらくなります。
見えづらいときには、眼鏡を使用します。眼鏡を使用すると、どの距離も見えやすくなります。
多焦点眼内レンズ
複数の距離にピントが合うレンズです。遠方と近方の両方、または遠方から近方までまんべんなく見えやすくなります。そのため、眼鏡が必要になる機会が少なくなったり、あるいはまったく必要なくなります。
ただし、1焦点に限った見え方では、単焦点眼内レンズと比べてやや劣ります(少しピントが甘くなります)。
白内障手術の
メリット・デメリット
- メリット
-
- 薬物療法と異なり、根本的な治療となる
- 低下した視力が回復する
- 眼内レンズで遠視、近視、乱視を矯正できる
- 白内障が再発することはない(※)
- デメリット
-
- ピントを調整する力が失われる
- 手術中、わずかに痛みが出るおそれがある
- 術後、感染、術後屈折誤差、網膜剥離などを起こすことがある。
※水晶体の袋が濁ることがあります(後発白内障)が、レーザー治療により濁りを除去できます。
白内障手術の流れ
1初回診察
症状をお伺いし、白内障の状態、他の疾患の有無を調べるため、各種検査を行います。
※他医療機関からの紹介状がある場合には、お持ちください。
※瞳孔を広げる散瞳検査も行うため、車を運転してのご来院はお控えください。検査後5時間ほど、見えづらさが生じます。
2術前検査
安全に手術を行うための精密検査、お身体の状態についての問診を行います。白内障手術の適応となることが確認されれば、手術日を決定します。また全身状態、年齢、ご希望を考慮し、日帰り/入院いずれにするかを選びます。
治療中の病気、服用中のお薬がございましたら、必ずお伝えください。お薬については、お薬手帳をお持ちください。
※瞳孔を広げる散瞳検査も行うため、車を運転してのご来院はお控えください。
3手術についてもご説明
手術に向けて、また手術後の注意事項などについてご説明します。ご家族様にもご同席いただけます。
分からないことがありましたら、何でもお気軽にお尋ねください。
4手術当日
手術前の食事については、通常通り召し上がってください。ただし、アルコールはお控えください。薬の内服等については、医師の指示に従ってください。また、お車でのご来院はお控えください。手術後当日中は、車などの運転ができません。
指定の時間にお越しいただき、問診、血圧測定、散瞳薬の点眼、点眼麻酔などを行った上で、手術を行います。
麻酔によって、手術中は基本的に痛みがありません。手術は通常、20~30分程度で終了します。
5院内での休憩・入院
日帰り手術の方は、日帰り入院手術の方は、院内でお休みいただいてから、術後の説明を受け、眼帯をしてお帰りいただきます。
入院手術の方は、そのまま入院していただきます。
6手術翌日の診察
手術翌日、眼内レンズの状態、炎症の有無などを確認するため、診察を行います。
7定期的な診察
合併症の予防、早期発見などのため、定期的に診察を受けていただきます。
白内障手術の費用
日帰りの場合
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
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白内障手術 | 約15,000円 | 約30,000円 | 約45,000円 |
入院手術・日帰り入院手術の場合
※お問い合わせください
※費用については、手術の内容、使用する薬剤などによって、多少の違いが出ることがあります。
高額療養費制度・限度額認定適用書について
お住まいの地域や健康保険の種類によって一部内容が異なるので、所轄の健康保険組合、または市区町村にお問い合わせください。
高額療養費制度を利用される皆さまへ【厚生労働省】
医療費が高額になりそうな場合【全国健康保険協会】
高額な医療費を支払った場合【全国健康保険協会】
給付金について
白内障手術は、生命保険・医療保険の約款対象となっている場合には、手術給付金の対象となります。詳しくは、加入されている保険会社にご確認ください。
白内障手術の注意事項
日常生活について
- 処方する点眼薬は、用法用量を守り、正しく使用してください。
- 手術後1週間は、目のまわりのメイク、飲酒、喫煙をお控えください。
- 手術後4日間は、水をかけて行う洗顔・洗髪をお控えください。目のまわりを避けて、汗などは濡れタオルなどで拭き取ってお過ごしいただきます。首から下のシャワーは手術翌々日から再開できますが、目のまわりが濡れないよう十分に注意し、長風呂をお控えください。
- 手術後1週間は、車の運転をお控えいただき、医師の許可を得てからの再開としてください。
- デスクワークは手術後3日から、肉体労働は手術後2週間からの再開が目安となります。
- 紫外線、塵、埃などから目を守るため、1カ月ほどは保護眼鏡を装用していただきます。
※当院では術後の生活について看護師から詳しくご説明を行っております。
見え方について
- 手術後の見え方には個人差があります。翌日から見え方が良くなる方、数週間をかけて少しずつ見え方が良くなる方とさまざまです。
- 視力の回復の程度にも個人差があります。網膜の黄斑部、視神経、脳の視覚中枢に問題がない方であれば、比較的良好な回復が期待できます。一方で変性近視や加齢性黄斑変性症などがある場合には、十分に回復しない可能性があります。
- 「見え方」は視力の良し悪しだけでなく、個人の感じ方に左右されます。1.0以上の視力まで回復しても、見えにくいと感じることがあります。また同様に、0.2程度の視力であっても、良く見えるということがあります。
眼鏡の必要性について
単焦点眼内レンズを選択された場合
多くの方が、それまで使っていた眼鏡が合わなくなります。眼内レンズで補えない距離については、新たに眼鏡を作り、見え方を改善する必要があります。ライフスタイル、屈折異常の状態はお一人おひとりで異なるため、患者様に合わせた眼鏡をご提案します。
多焦点眼内レンズを選択された場合
多くの方が、ほとんど眼鏡なしで日常生活を送ることができるようになります。ただし、1つの焦点あたりの見え方に限ると、単焦点眼内レンズと比べるとピントが甘くなるため、眼鏡が必要になることもあります。
特に、強い乱視がある方は、眼内レンズのみでは不十分で、眼鏡が必要になるケースが多くなります。
術中・術後に予測される合併症
痛み・異物感
手術後、痛みや異物感が生じることがあります。痛み止めを処方しますので、ご安心ください。
また基本的に、痛み・異物感は、手術後数日で消失します。
感染症
どのような手術にも起こり得るものですが、傷口から細菌が入り込むと、感染症を発症することがあります。
汚れた手で目を触らない、抗生物質を正しく服用するなど基本的なことが、予防策となります。
矯正誤差
手術後、近視や遠視、乱視が残ってしまうことがあります。
見え方が不十分な場合には、眼鏡が必要になります。
後発白内障
眼内レンズは、挿入後に濁るということはありません。しかし、水晶体が入っている袋が濁ってしまうことがあり、これを後発白内障と呼びます。
ただ、再手術は必要なく、レーザー治療によって濁りを取り除くことができます。
眼圧上昇
手術後、眼圧が上昇することがあります。眼圧を下げる薬を使用し、これを抑制します。
球結膜下出血
球結膜(白目の部分)で内出血を起こし、白目が赤くなってしまうことを「球結膜下出血」と呼びます。
通常、2~3週間で自然に消失します。
水晶体嚢が破れる・毛様体小体が切れる
ごく稀ではありますが、手術中に水晶体を包む袋が破れたり、毛様体小体(チン小帯)が切れたりすることがあります。
手術中に対処できることもありますが、再手術が必要になることもあります。
その他
その他、ごく稀な合併症としては、角膜混濁、ブドウ膜炎、眼内炎、角膜内皮細胞の減少、類嚢胞黄斑浮腫、眼内レンズの変形や脱臼、複視、網膜裂孔・網膜剥離、光視症などが挙げられます。
白内障手術Q&A
白内障手術は、どういったタイミングで検討すべきですか?
白内障手術は安全性の高い手術ですが、白内障が進行するほど難易度が高くなっていきます。そのため、日常生活に支障が出ている段階で、検討をおすすめします。つまり、日常生活に支障をきたす見えづらさを感じて受診して白内障と診断されたら、その時点で治療の選択肢に入ってきます。ただもちろん、必ずすぐに手術をしなければならないという病気ではありませんので、患者様と相談しながら、適切なタイミングを探っていきます。
白内障手術は痛いものなのでしょうか?
技術の発達により、ほとんど痛みなく終えられます。基本的に、点眼麻酔のみで十分な効果が得られます。ただ、痛みの感じ方には個人差があります。ご不安な方は、事前に仰ってください。また手術中も会話ができますので、痛みを感じる場合には医師にお伝えください。麻酔薬を追加するなどして、対処いたします。
検査は1回で終わりますか?
原則、初診の際に目の状態など基本的な情報を集める検査と、手術が決定してからの術前検査、計2回が必要になります。ご希望の方は、ご予約の際にお伝えください。
両目を同時に手術することは可能ですか?
基本的には、両方の目で白内障を発症している場合でも、片目ずつの手術となります。通常は、手術のあいだにプラス2週間ほどの期間をあけます。
手術後、すぐに見え方が良くなりますか?
手術後から翌日の診察までは、眼帯をしていただきます。翌日の診察時から見え方が良くなる方もいれば、数週間をかけて徐々に見え方が良くなるという方もいます。また、視力および見え方の回復の程度にも、個人差があります。
眼内レンズは、単焦点と多焦点、どちらを選べばよいですか?
一般に、「できるだけ眼鏡をかけずに裸眼で過ごしたいという方」には多焦点眼内レンズを、「眼鏡をかけてもいいので鮮明に見たい」という方には単焦点眼内レンズをおすすめします。ただ、お仕事や趣味などのライフスタイル、見えづらいときのストレスなどは患者様お一人おひとり異なります。じっくりと相談して選んでいただけますので、どうぞご安心ください。
眼内レンズの交換が必要になることはありますか?
眼内レンズが挿入後に濁ったりすることはないため、交換の必要もありません。
ただし、他の疾患を発症し、その手術の一環としてレンズを取り除くケースはあります。